技術の千年史

会社のミッションが「最先端の技術を最短路で実用化する」で、中核に据えるのが検索でも自然言語処理でも機械学習でも無く「技術」である以上、それらを抽象的に捉えた「技術」についてもちょっと考えたりするわけです。


技術革新(イノベーション)とは大抵の場合既存の技術の組み合わせであるというのは割と一般的に言われていると思います。つまり、技術はある分野に持ち込まれたりするわけです。これを「技術移転」といいます。その技術移転というのは「対話」である。というお話。


対話であるというのはどういうことかというと、「歩み寄る必要がある」「双方向である」ということです。
「歩み寄る必要がある」とはある技術が別の場所で受け入れられるにはそのままでは使えずに現地の状況に合わせて改良及び現地の特性に合わせて培われた技術との組み合わせが必要であり、決してその下地がないところでは使えないということです。


「双方向である」とは、そうして現地で根付かせるために行われた改良が、移転元の方にとっても技術の改善につながるということです。つまり技術を伝え、別の場所にて使い物になるように工夫することが、まわりまわって自分たちに方にもプラスになるように返ってくるというわけです。


以上のようなことが、「技術の千年史」では直近千年間に渡り、農業・造船・銃・鉄道・紡績などの例において具体例と共に書いてあります。

世界文明における技術の千年史―「生存の技術」との対話に向けて
アーノルド・パーシー
新評論
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技術を持って異分野に突入する際に、技術のことと適用分野のことと両方のことを知ってお互いに歩み寄らないと中々難しいわけですが、その難しさもこの「対話」という比喩に含まれてて面白いなあと。また、伝える側にも改善が見込まれるというところは「リバース・イノベーション」と似たコンセプトであったりもするわけです。「技術の千年史」は20年以上の前の本ですけどね。


いずれにせよ、技術は他から取り入れられ、進化した後に提供元にまた還元されるという視点で見ると、戦後日本は欧米の基礎技術を取り込み、製造という形で進化させたわけです。そして今、製造の技術が欧米に帰って欧米が新しい形で発展し、アジアに伝えられて取り込まれる際にまた発展していると考えるのであれば、今は何をすべきかというと他で培われている技術を取り組み、自分たちで扱えるようにすることだろうと思うわけです。もっと貪欲に知識や技術を輸入したい。