考えてるつもり

人間の思考が如何に周りの状況の影響をうけるかについての本。

人は自分と同じ集団の人に対しては親しみを持つ。同じ大学の出身、同じ地方の出身、
共通の知り合いがいる等などの場合、初対面だったとしても友好的な態度で話をする。
この事自身はそんなに不思議ではないと思う。
ところが、この性質は思ったよりも極端に働く。一つは自分が意識してなくても作用するという意味で、
もう一つは自分が認識しているよりも友好的な気持ちや憎悪の気持ちが浮かんでしまうという意味で。
そして同じ集団とみなした場合には寛容になり
例えば歩いている人にとって、泥をはねかけられる、道を譲らないなどの理由でドライバーを嫌悪する。
「歩行者はドライバーよりも道徳的だ。奴らドライバーはなんて自分勝手なんだ!!」
同じ人が車を運転すると道路を斜めに渡ろうとし、信号無視をする歩行者を見て「奴ら歩行者はなんて自分勝手なんだ」
と、ドライバーが優れた種族だと認識する。


このカテゴリ付けは色んな所で起こってないだろうか。自分が何かにイラッとした時、相手を無意識に外の集団の
人間とみなして厳しくなっていないだろうか。部下と上司、営業とエンジニア、男と女、日本人と外国人、
といったようにこのカテゴリ付の要素となるものはいっぱいある。


じゃあ、どう防ぐか。自分が偏見を持ちうると認識することだ。
それが故に自分にはどういうバイアスが掛かりそうで、相手とどう認識のズレが生じるかの
学びの機会とすることだ。偏見や先入観は自分が捕らわれていると気付ければ影響は小さくできる。


この他にも有名な「周囲に感じる人の存在の数が多いほど困っている人を助けようという意思は弱まる」
「人に指示されると罪悪感を感じなくなり、酷いことでもやってしまう」などの話もある。「寛容にならなきゃとは思っているんだけど」と自覚している人も、そうでない人もこの辺りの話題でピンとこない人は読んでみるといいかと。